幼き希望―信頼―

 

 

 

 

 

あの後、何とか合流できたキング達。

 

エースはと言うと、この積雪を見越したのか(は不明だが)、防寒着やらいろいろと買い回っていたようだ。

自分の分だけでなく、他の仲間の分も買って回っていたので、すれ違いが多くなってしまった…と彼女は語るが、どこまで真意か分からない。

 

宿泊先の宿で、ドサドサとそれらが入った袋を置かれ、キングは戸惑い呆れたが、流石にこの寒さには堪えたらしく説教は保留にして受け取った。

 

真っ先に防寒着を着込んだのはジャッカルだった。 やはり寒い中一人で長時間探させてしまったのが原因らしい。

彼は受け取った後すぐに毛布と一緒に繭のようにくるまって、全身を小刻みに、寒さで震えながら寝台へと座り込んだ。

 

「…一人で探させて悪かったな」

 

キングは申し訳なさそうな表情でジャッカルにそう詫びた。

その言葉を予想していなかったのか、ジャッカルは慌てて顔を上げて言葉を返す。

 

「な、何で君が謝るの? 一人で探すって言ったのは僕なのに…」

 

「それでも長時間探させちまって、そんな状態にさせちまったのは俺だ。

…俺が勝手に優先順位変えてなかったら今よりはまだ時間短くできただろうからな」

 

「だからって君が謝る事は……」

 

「…ま、言っておいてなんだがそんなに気にすんな。 言っときたかっただけだからよ」

 

そう言ってキングはジャッカルの頭へと軽く手を置き、優しく撫でた。

 

「…でも……」

 

まだ言いたい事があったみたいだが、ジャッカルはその優しいキングの態度にそれ以上何も言えなかった。

 

「まあ、君らしい理由だよね。 人を助けてて遅れるなんてさ」

 

横から事の張本人(エース)が話に割って入って来た。

彼女の手には自分の分も含めた温かい飲み物が入ったカップが3つあった。

 

「いやそもそもの原因だろうがお前は……まあいい」

 

キングは溜息を一つ吐きつつ、エースから二つ分を受け取り、一つをジャッカルへと手渡した。

 

「それで? 明日会うんだって? その子供に」

 

自分の寝床の上へと座りながらエースが笑顔でそう聞いて来た。

 

「ん、まあな。 謝礼代わりが会ってくれってだけなら別にいいだろ」

 

「まあ確かに2、3日は此処出られ無さそうだしね。 此処、雪に慣れてる地方じゃないみたいだし」

 

そう言ってエースは視線を宿の窓の外へ移す。

町は夜になり、雪が降っている為、月や星が見えない夜が広がっている。

 

「それにしても謝礼くれるって言うなら素直に貰っておけばいいのに。キングって真面目だねー」

 

「いや街を治めてる立場の人間から金を貰う訳にはいかねぇだろ…。 別に金に困ってやった訳じゃないし」

 

「真面目だなー本当に。 色々と疲れないの? レアメダルの力も僕等と会ってから全然使ってないみたいだしさ」

 

「……!」

 

エースのその言葉に、キングは一瞬表情を曇らせ、飲んでいる手を止めた。

 

「…無理して使うもんでもねぇだろ。 あと別に俺は周りに合わせてるだけで、優しくも真面目でもねぇよ」

 

「ハハハ、まあ君がそう言うならそういう事にしておくよ」

 

「……?」

 

笑って軽く流したエースだったが、ジャッカルはキングのその一連の行動が、気にかかった。

 

「そろそろ寝よっか。 さて明日は何しよっかなー♪」

 

「お前今日で散々回ったんじゃねぇのか…?」

 

「…寝る時まで元気だね、エース…」

 

寝床の横に配置された小さなテーブルに、彼等はそれぞれ飲み終えた後のカップを置き、眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……ん」

 

窓から陽が差す。 どうやら今朝は太陽が顔を出しているらしい。

 

「朝か…。 ……」

 

ゆっくりと寝ていた身体を起こすキング。が、何故だかその表情は暗い。

 

「(何で今…あの時の事を……)」

 

はあ、と一つ深く溜息を吐きながら寝る為に外していた装甲の一部を着けていく。

ふと隣り合っている仲間の寝床を確認する。既にエースの姿は無い。

 

「エースの奴またか…。 …まあ今回は、大丈夫そう…だな」

 

ジャッカルの姿もない事から、恐らくエースに連れとして起こされでもしたのだろうなと、キングは苦笑しながら思った。

 

 

「…さて、朝っぱらから行ってもあれだしな…少し外で時間潰してから向かうか」

 

窓を少し開けて町を眼下に映す。 そよぐ風が冷たいが、昨日のように雪が降っている訳ではないので昨日よりは寒くない。

町を行く人々は、何枚も服を重ね、マフラーを鼻まで覆うように巻いて身を震わせながら積雪を踏み歩いている姿が見受けられる。

 

キングもそれらを真似る様にして防寒着を着ていく。 

寝ている時と同じように頭の装甲を一部外したままにし、自身の備わる長い黒髪を斜め上に垂らすように束ねて結う。

身体や足の装甲部分は最低限着けて、その上から防寒着を着込んだ。

 

…ま、こんなもんかな」

 

部屋の入り口付近にある小さな鏡台で自身の今の姿を確認し、キングは宿を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……また降って来たな、服着て来て良かったぜ」

 

 

宿を出て2時間程街を歩き回りミスミの元へと向かう途中、昨日と同じように雪が降り始めて来た。

昨日ほどの量ではないが、それでも朝よりは気温が下がっていくだろう事はこの白い結晶が示していた。

 

「酷くならねぇ内に早く行くか……」

 

キングは少し足を速めてミスミの居る役所――基(もとい)施設――へと歩いていく。

 

「(にしてもさっき回った時に全然アイツ等と会わなかったな…)」

 

小さな町なのだから一回くらいはすれ違うだろうと思っていたキングだったが、それが無かった。

疑問に思いつつも、不思議と心配という気は起きず、然程気に留めない事にした。

 

 

しばらく呆けたように空を仰ぎながら歩いていると、後ろからこちらへと走って来るような足音が聞こえて来た。

 

「…?」

 

その足音に気付き、キングは空を見ていた顔の向きと視線を音の方へと向けようとする。

 

『―――――わぷッ!』

 

「!?」 

 

と、同時に誰かがキングの背中に勢いよくぶつかって来た。

こちらに痛みは無いが、ぶつかった事で歩みを止めざるを得なくなった。

 

「大丈夫か……って、お前…昨日の……?」

 

『いてて…ごめんなさい。 ……あ! 昨日のお兄さん!』

 

互いに相手の顔を見て、片や驚き、片や笑顔に表情を変える。

振り返った先にキングの目に映ったのは昨日出会った少年のミスミだった。

 

人懐っこく抱き着いてくるミスミに、キングは戸惑いの色を隠せないでいた。

 

『こらこらそんなに走り出したら危ないですよ……おや、貴方は…?』

 

更にミスミの後からもう一人、この街の市長が歩いて来た。

昨日とは違う姿のキングである為か、彼だとよく分かっていない様子だ。

それも無理はなく、今の彼はどちらかと言えば女性と見紛う外見であり、女顔という事もあり、より分からなくなってしまっているようだ。

 

『市長さん、この人昨日のお兄さんだよ!』

 

その筈だが、ミスミは迷いなくそう答えた。

市長は少し驚いた表情でミスミとキングの顔を確かめるように交互に見比べる。

 

『…これは……大変失礼いたしました…。 女性の方だとばかり思ってしまいまして…』

 

「…あー…いえ、いいんですよ。 前からそうやって間違われることもありましたから、気にしてないです」

 

キングの声に、市長は昨日会って聞いた声と表情が一致したのか、改めて穏やかな笑みを浮かべる。

 

『そういえば名前を聞いておりませんでしたね…恩人の方なのに、失礼を致しました』

 

「名前…あ、そうでしたね。 こちらこそ名乗りもしないで…」

 

少し考え、キングは自分の名を名乗る。昔も今も、呼ばれている名前で。

 

市長も名を教えてくれた。 “レンギョウ”という名らしい。

互いに名乗っていると、キングの横に居たミスミが服の裾を引っ張りながら、キングの視線を自分に向けさせた。

 

『ねえ。キングのお兄さん! どうせなら一緒に帰ろう? 今ね、お散歩の帰りなんだよ!』

 

「散歩?」

 

『ええ、日課みたいなものですよ。 朝と昼の休みに私が子ども達と一緒に町を見回っているのです。

子ども達だけで、とも考えたんですが…それは危険ですし……私がこうして見守る役をしているのです』

 

「…?」 

 

そう言ったレンギョウ市長の笑顔は、どこか暗い色を映した。

その様子を、キングは訝しげな表情で少し首を傾げる。

 

『ねえねえ、お兄さんも一緒に行こう! 僕達の“家”にさ!』

 

施設の事を“家”と呼ぶミスミ。 昨日、市長が話した内容から察するに、彼には家どころか“家族”も居ないらしい。

そんな子ども達がその“家”にもまだ居るのか、と思うとキングは胸が痛むような思いに駆られる。

 

ミスミは笑顔を向けたと思うと、二人を先導するように前へと駆けだして行く。

 

『…歩きながらでもお話しましょうか。 “家”の事もこの町の事情も…』

 

レンギョウ市長がそう言いながら、キングへと寂し気に笑いかける。

 

「…そうですね」

 

ミスミを見失わないようにと、二人は揃って歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪は降り続ける。 彼等が歩く方向とは対称の位置にあった木に降り積もった雪は、ドサリと音を立てて道へと落ちる。

キングと市長の前を駆けて行っているミスミは、はしゃぎながらその様子を楽しんでいる。

 

『――――この町…国は、中心に行けば行くほど豊かで発展しています。

今歩いているこの通りにある富裕層の方々の家はその別荘みたいなものなんです。 …最近は、その方々は戻ってきていませんけど』

 

市長はどこか懐かしむような顔で、通りに広がる主の居ない家達を見つめる。

 

「戻ってない…?」

 

別荘と言うならば、この寒い時期に戻ってこないのも無理は無いが、それが何年も無い、というのは変だろう。

 

『…その家の子ども達が町や国を出て行った事もありますが……その…言い難いのですが…』

 

市長の表情は相変わらず寂しい笑みを浮かべて、話を続けている。

 

『……子ども達が何者かに連れ去られ、売られている事件が発生しているんです。私が市長に就く、十数年前から……』

 

「え……!!」

 

あまりの事実に、キングは驚きの色を隠せなかった。

レンギョウ市長は尚も話を続ける。その表情は相変わらず暗い色を落としている。 前を楽しそうに駆けるミスミとは正反対に。

 

『…連れ去られた子ども達は、何も富裕層の方々だけではないんです。 ミスミのような孤児達も被害に遭っています。

身代金目当てに攫っているかと思えば、そうでない子ども達も被害に遭う…一体何故なのか……? そこが一番の謎でした……』

 

富裕層の子ならば、確かに身代金目当てと言った目的が浮かぶが、裕福でない子ども達や孤児にも被害が出ている。それは一体、何故なのか。

 

 

『ですがその後分かったんです、子ども達は富裕層や孤児など関係なく、子ども達を“お金になる商品”として売っているのだと。

それも奴隷と言ったものではなく、眼や手、内臓と言った体の一部を切り取って売り…用済みなれば殺しているんです。

…実際に私達の元に送られた事で分かったんです…攫われた子ども達の…惨殺された死体が、血に塗れた袋にバラバラに…です……』

 

想像し難いその光景が嫌でも浮かんできてしまい、キングの表情は悲痛と怒りが入り混じったような表情になる。

そしてそれを間近で突き付けられた隣の市長や職員達は、きっとそれ以上に悲しく、受け入れ難かっただろう…。

 

「……酷い話、ですね」

 

それ以上、言い表せようが無かった。 

下手な言葉も、この話の後ではかけるべきではないだろう。 余計に、傷付けるだけかもしれないからだ。

 

『…それを行った人物達が、脅迫してきたのは私が就任した直後でした。 子どもの居る者達に向けて、脅迫の手紙が送られてきました。 

それでもこんな恐ろしい事を早く終わらせるようにと幾つも案を出していた時の事でした、手紙を送られた者の子どもが同様に殺されたのは…』

 

話によれば、その者達も最初の事件と同じように子どもの死体が家の前に袋詰めにされて置かれていたという、惨たらしい話だ。

 

『以来、下手な動きも出来ずにただ怯えながら過ごしていました。 ただそれでは子どもが安心してこの町を歩けない…。

それだけはどうしても避けたかったし、護りたかった。 そうしたせめてもの想いで出来たのが、今のあの役所の外観です』

 

隔離するような高い柵や塀、重厚な大きな門…それらは子どもを閉じ込めるのではなく、守る為…。

牢獄のように感じた事を悔やむ程に、市長の表情は悲壮を浮かべた笑みは酷く辛く見えた。 

 

『…ですから、孤児達だけでなく一般家庭の子ども達も、申請があれば預かっています。誰よりも自分の子どもが大事ですからね…。

…勿論、事件の事、“家”の真実も子ども達に言っていません。 “子どもだけでは危ないから外へは出ないように”と言うだけです』

 

「………」

 

思い返してみれば、この街に辿り着いた時はまだ昼頃だったというのに子どもの姿を殆ど見られなかった。

最初は偶然かと思っていたが、そういった背景があるのだと知ると、大人が子どもを護る為に“外に出さない”し“出せない”のは理解できる。

 

『情けないですね…、元凶を絶つ勇気も知恵も無いのは…。 護るだけで、精一杯で……兵隊の一つも雇えない…』

 

前を行くミスミが立ち止まり、キング達へと手を振っている。 早く来てほしいという想いで一杯なのだろう。

あの話を聞いた後では、彼の笑顔が、眩しく見えてくる。

 

『…すいませんね、旅の途中の騎士様にこんなお話……』

 

「…そんな事、ないですよ……」

 

そう言うのが精一杯だった。 あの話に、こちらが下手に割り込めないし口を挟むのはきっと野暮だし、迷惑だろう。

こちらは仲間を探している為に通り過ぎる道の一つでしかないし、深入りは出来ない。例え、『助けたい』と思ってしまっても。

 

 

『そろそろ着きますね…。 この子と一緒に居てあげてください。 今日だけでもいいですから』

 

「約束ですからね、分かっています…」

 

ザクリと、また一歩雪を踏む。 其処はもう”家“の前だった。

門は開いており、ミスミは先に“家”の中へと入って行った。

 

 

「……?」

 

ふと、市長とミスミ以外の、慣れ親しんだ気配がしてキングは振り返った。

だが振り返ったその先に、誰も居なかった。

 

『? どうかしましたか、キング様』

 

「…いえ……行きましょうか」

 

エースとジャッカルの気配がした気がしたのだが、振り返った先には誰も居ない。

ただ雪が降る、真っ白な光景が映るだけだった。

 

「(…? 気のせいか……?)」

 

疑問に思いながらも、キングは市長の後を付いていき、“家”へと入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――バレなかったみたいだね」

 

「…何でわざわざ隠れて後を追ったの?」

 

キングが“家”へと入ったのを確認したや否や、“家”のすぐ横の路地からひょっこりと顔を出すエース。

後から少し遅れてジャッカルも顔を出す。 どうやら散策途中でキングの姿を見かけ、バレないように彼の後を追ってきたらしい。

 

「いやー、どうせなら隠れてみようかなと思ってさ、お蔭で変わった話も聞けたし」

 

「…さっきの、子どもが売られて殺されてるって話?」

 

「そ、あの人間の話から察するに近くにそいつ等がいるような言い方だったしさ。 でも変な話だよ」

 

「? どこが変だったの…?」

 

ジャッカルは少し首を傾げてエースに尋ねた。

 

「“袋詰めされた死体が本当に自分の子どもだった”か、なんてバラバラにされた後じゃ分かる事が少ないさ。

顔が原型留めていれば別だけどね、そうじゃなかったら分かるもの分からない。血だけなら他の動物の血だけでも十分だよ。

相手は眼や体の一部を抉り取って売っているような連中みたいだし、脅すだけならそう思わせるだけで十分な筈さ。 それに…」

 

「それに…?」

 

エースは薄らと笑みを浮かべる。

 

「“何でその連中には脅した相手に子どもが居るって分かっていた―――――?”」

 

「…!」

 

「脅されたとされる人間達の全員に子どもが居た。 ならそれをどこで知った? 街で見かけた? 

事態の現状を考えるならまずあり得ない、自身の子どもを危険に曝すだけだし、街に連中が紛れているかもしれないのに」

 

そうなると……、とエースは自身の考えを語り続ける。

 

「それらを知っている人物がそいつ等に情報でも流したかしたんじゃないかな? 脅されてるのか金目当てにやっているのかは知らないけど。

別に脅して金を取る訳じゃなさそうだし、そいつ等が脅す意味が無いよ。売って奴隷にするにしろ何にしろ、そいつ等に金は入って来るだろうし」

 

「……見せしめにしてる、って事?」

 

「かもね。 そうする事で情報を流す人間を脅して確実に次の子どもの…アイツ等で言うところの“商品”を手に入れる…。

いつでも“替え”が利くようにしている為に脅迫しているとか…そんなところだろうね」

 

エースは路地から出て、自由すら閉じ込めている“家”の門に触れ、外観を改めてじっくりと観察する。 

 

「もし話が全部本当なら…この外観は全部無意味だろうね。 “此処にお目当ての子どもが居ますよ”って言ってるようなものだし。

せめて変えるなら此処だけじゃなくて、周りにもそれらしい建物でも置いておけば多少は誤魔化せたかもしれないけどさ」

 

「…キングは、気づいているのかな…?」

 

ジャッカルのその疑問の言葉に、エースは軽く頭(かぶり)を振る。

笑みこそ浮かべてはいたが、それは憐れみによるものなのか悲しみによるものなのか、分からない色だ。

 

「…さあね、気づいていてもいなくても、あの子は優しいから。 誰よりも…ね」

 

そうエースは言うが、心の中ではまた別の事を考えていた。

 

 

「(脅されているにしても一切の手出しが出来ない状態は変だ…。 何かを隠している? 誰に、何を?

何で市長の人間はキングにこんな話をした? 助けてほしいから? でもそれはあの子を騎士だと思っているからかもしれない。それに……)」

 

幾つもの憶測や推測が浮かぶが、現時点ではどれも繋がらない。 

又聞きした話だけではどれが真実で嘘なのか、何の確証も得られない。この街の人口すら知らないのだから。

 

「……」

 

さて、と軽く両手でパンと音を鳴らす。

 

「どうせこの雪じゃしばらく出られそうにないし、僕等で少し調べない? 

 

 

 

 

人攫いの真相をさ―――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回に続く……。

 

 

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